何を信じれば

ネット上で実際に原発の現場で働いていたという方(故人)の「原発がどんなものか知ってほしい」という文書がありまして、恐らく15年くらいのものなのですがまるで今回の福島第一原発事故を予言していたかのような恐ろしい内容なんですね。私はたまたまmixiの某コミュで知ったのですが、福島第一原発事故以降、ブログやtwitterで拡散されまくっているようです。

で、この「原発がどんなものか知ってほしい」を読んだ時は素直に受け取って改めて脱原発への思いを強くしたんですが、よくよく調べてみるとこの文書の整合性を指摘して批判する人がいたり、その批判に対して検証・批判してる人がいたりして、原発の知識に乏しい者にとっては果たしてどれがどこまで正しいのかわけがわからなくなってしまいます。ネットに限らずこれだけ情報が氾濫している中では最終的な判断は受け取る側に委ねられるわけではあるんですけどね。

そして、震災以降の(いや、それ以前からだけど)政府や東電、保安院、テレビ、新聞などから発せられる情報はどこかオブラートで包んだように曖昧でハッキリしない。以前は好きでよく見ていた池上彰氏も誰に言わされてるのかとにかく「安全です」ばかりで私の中ではすっかり信用失墜。先日の孫正義氏の東日本ソーラーベルト構想も100億寄付した時は大きく扱われたのに脱原発のネタはあまり報じられない。都合の悪い情報を出すジャーナリストは締め出され、メディアは切り込むのではなく発表されたそのままを伝える。例を挙げればキリがありませんけど、そんなのばかりだから必要な情報は隠し、事実は歪曲され、発表される情報は関係者の保身のために発せられているんじゃないかという疑心暗鬼に陥ってしまいますよ。

「不安を煽るな」という声をよく聞きます。
しかし、わからないものに脅えるよりは聞きたくない情報でも知った上で対処したい。
何を信じていいのかわからない方がよっぽど不安だと思うのですが。

原発のもう一つの側面

なんだか反原発ブログになりつつある今日この頃ですが、今回は原発が抱える他の側面を取り上げたいと思います。

震災直後に話題になったのでご覧になった方も多いかもしれません。
俳優のいしだ壱成さんのブログ。
ちょっと長いですがまだ読んだことない方はぜひ最後まで読んでいただきたい。

今だからみんなで考えたいこと。|いしだ壱成オフィシャルブログ

 

恐らく原発のある地域ではどこも同じような事が起きているでしょう。
原発を推し進める人たちと原発に反対する人たちの対立。
そしてそれは彼の言葉からわかるように人を正気から狂気に変えてしまう。

彼の記事中にあった原発建設計画が持ち上がっていた串間市のホームページを見ました。そこの掲示板を見るとかなり以前から活発な議論がされてはいるものの、基本的には推進派と反対派では平行線(福島第一原発事故が起こった後ですら)。中にはかなり過激な意見も書き込まれていたりして、人と人の暴力的な対立があったのかまではわかりませんが対立の激しさは伝わってきます。

同じようにそれまで仲の良かった町の人たちの和が意見の対立で壊れてしまったというのはよく聞きます。私の住む新潟でも過去に巻町(現:新潟市西蒲区)で原発誘致の計画があり、最終的に計画は中止となりましたが、町民の間では推進派と反対派で激しく対立していたというのを地元の方から聞いたこともあります。

原発の是非とは別に、同じ日本に住む人たち同士がこんな争いをするなんてすごく悲しいことです。

過疎化が進み、大きな産業もない地域では原発誘致によって受ける恩恵は大きい。実際、福島だってそうだったろうし、新潟の柏崎市・刈羽村も同様、串間市も巻町も同様でしょう。

しかし今回の福島第一原発事故でそのリスクの甚大さに気付いたはず。

別に原子力である必要はないですよね?昨日書いた東日本ソーラーベールト構想とも繋がりますが、原子力の代わりに自然エネルギーでもいいはずです。原発に反対する人はそのリスクを恐れているわけですからトラブルが起きてもそれによって人が死んだり病気になったりしない自然エネルギー施設であれば問題ないですよね。自然エネルギーにも発電効率や安定性・コストなど課題があるし原子力のような多額の交付金は期待できないかもしれないけれど、そこは政府や自治体が産業・雇用が生まれるような仕組みを作って地域が成り立つ後押しをしてあげればいいんです。

生命の危険に脅かされる悪魔の機械で人が争うのはもうやめにしましょうよ。

東日本ソーラーベルト構想

昨日開かれた民主党の復興ビジョン会合にてソフトバンクの孫正義氏が「自然エネルギー財団」の創設と「東日本ソーラーベルト構想」を提案した。
これはUSTREEMでも生中継され、私も録画で見ました。
約52分あるのでちょっと見るの大変ですけどお時間ある方はどうぞ。

USTREEM-孫 正義 講演 「震災復興に向けて」

この会合で孫氏は、1.復興支援に向けて、2.原発問題について、3.エネルギー政策の転換、の3点を柱にプレゼンし、最後の3点目「エネルギー政策の転換」で冒頭に述べた「自然エネルギー財団」と「東日本ソーラーベルト構想」が出てきます。

実現性についてはともかく、影響力のある人がこういった提言をするのは非常に良いと思います。プレゼン資料の中で管総理が「(既存の原発について)これまでの安全基準でいいか再チェックする必要がある。」「(原発の新規計画について)白紙から検証をしなければならない。」「原子力の安全性を求めると同時に、クリーンエネルギーに積極的に取組んでいく。」との発言があったと紹介されていましたが、私の記憶には「そういえばそんなこと言ってたかも」くらいのイメージしかなく、それはつまりメッセージとして非常に弱かったということかもしれません。本来であれば管総理自ら強いメッセージ性を持って国民にこういう道筋を示してくれるのが望ましいところ。今後政府が孫氏の提言をスルーしないことを強く希望します。

で、この東日本ソーラーベルト構想、概要としては今回の震災で海水に浸かったり放射能の影響を受けたりして農業ができなくなった田畑に太陽光や風力、地熱などの自然エネルギー発電設備を整備し、既存の原発を段階的に廃炉しながら原子力から自然エネルギーへの転換を図り、それによって被災地での産業や雇用を生みだしていくというもの。
実現には当然のことながら地元の意向もあるだろうし、津波が及んだ地域は原発でなくても再び津波の被害を受けるリスクもあると思いますが、方向性としてはとても理想的です。
また、合わせて太陽光発電の20年に渡る全量買取制度も提案しており、これは実際に数年やってみてわかりましたが現状の余剰分10年買取ではとても元なんて取れませんから実行されれば更に太陽光発電の普及が加速されるのは間違いありません。

あとは技術的な問題やコストなど越えなければいけないハードルは多いのですが、やはり大切なのは道筋を示すこと。

福島第一原発事故が起きた後でも未だに原発必要論を説く人がいて、政府の視線も原発がなくなることを望む人たちより原発がなくなったら困る汚れた人たちの方を見ているような印象があります。
国民が本当に望んでいるのは何なのか。
今なお放出され続ける放射能に怯え、いつトラブルに見舞われるかわからない原発に囲まれ、何万年の先の子孫にまで放射性廃棄物を押し付ける、そんな暮らしを望んでいる人はいないはずでしょう。

孫氏の提言する「国民全員が安心できる社会」の実現に向けて、政府が確かな道筋を示してくれることを期待します。

レベル7

原子力安全・保安院が福島第一原発事故をレベル5からレベル7に引き上げました。これでチェルノブイリと並ぶ最悪の事故という不名誉なお墨付きがついたわけで、海外メディアはこぞって報道しているようです。今や日本は放射能汚染水を垂れ流すテロ国家扱いですから海外メディアにとっては格好の標的です。

ただ、国内にいる人間としては「それがどうした」という気持ち。
レベル5で収まったらあぁ良かった、レベル7になったらさぁ大変だ、そんな話じゃないでしょう。

そもそも1ピコグラムも漏らしちゃいけない放射能が今も延々と放出され、福島県を始めとして多くの人が先の見えない大きな不安と恐怖に晒されているというのに、政府も東電も正確な情報は開示しないし原発も終息する気配すらない。事故レベルの算定なんかしてるヒマがあったら一刻も早く事故を終息させる手立てを打つべきで、レベル7に引き上げられてもまるで危機感が伝わってこない。

ちょっと長いですがこれを見れば政府や東電、保安院などの実態がわかるはずです。

日本国が隠している恐ろしい現実 USTREAM

斉藤和義 on USTREAM

昨日の記事で斉藤和義の「ずっとウソだった」に触れましたが、昨夜はその斉藤和義がUSTREAMで「斉藤和義 on USTREAM『空に星が綺麗』」と銘打った震災支援ライブを生中継しました。

私、これがあるのを知らなかったんですが子供を寝かせてからPCつけてTwitter見たらフォローしてる方がつぶやいてるのを見つけて大急ぎでUSTREAMへアクセス。8時からのスタートでこの時点で1時間くらい過ぎてはいたもののちょうど「ずっと好きだった」から続く「ずっとウソだった」も見ることができました。

なんかねー、時代のワンシーンを目撃したかのような感覚になりましたよ。
まるでベルリンの壁崩壊の現場に居合わせたかのような。
大袈裟かもしれないけどそんな感じ。

今回の「ずっとウソだった」が物議を呼ぶ中で同じく語られるのがRCサクセションの「Covers」。
「Covers」は収録曲の中に反原発を歌った曲があったため、原発企業でもある東芝EMIの親会社・東芝から圧力がかかってリリースが中止に至ったという経緯があります(後にレーベルを変えてリリース、詳細はWikipediaを)。
今回の件でも動画アップやそれが削除されている経緯などからこの曲及び斉藤和義本人に何かしらの圧力がかかるのではないかと危惧する声があったりして、USTREAMライブでも「ずっとウソだった」が歌われるのかが注目されていたようです。

そして彼は歌いました。

曲の途中で画面が止まり「まさか圧力かかった?」と思わせるシーンもありましたが、これは単に視聴者数増加でトラフィック負荷がかかりフリーズしただけのようです。恐らく私のようにSNSで知って見に来た人が多かったんでしょう。ピークは3万人以上が視聴していましたからね。そんなドラマティックな展開(表現が不謹慎かなぁ)がありつつも、彼はもう一度最初から歌い直し、最後まで歌いあげました。

忌野清志郎がサマータイム・ブルースを歌った頃、メッセージは圧力で潰され、表現の手段はメディアによって縛られていた。

しかし今はあの頃と違う。

我々は彼らの声を消してはいけない。