徴兵制はいずれ来るのか

昨日の記事で集団的自衛権の閣議決定のタイミングで自衛官募集のCMが始まったと書きましたが、記事を書いた後に、CMの他にも子ども達に募集案内のお手紙が届いてるというツイートが流れていました。

これらのあまりのタイミングの良さに過剰反応してる方も多いようですが、聞けばこの時期あたりに毎年行われていることで今年が特別ということではないのだそうです(確認はしてませんけど)。私自身は学生の頃にそういうの受け取った記憶はないですねぇ・・・・忘れてるだけなんでしょうか。

で、集団的自衛権についての「戦争反対」という声や、自衛官募集についての「徴兵制が始まる!」という声などに対してそれを否定する声も多くて、もちろん今月からいきなりどこかの戦闘に自衛隊が加わるなんてことはないだろうし、徴兵制に至ってはそのための法案とか手続きとかいろいろあるでしょうから、今すぐどうのって話ではないことは危惧してる人たちもよくわかっていること。ただ、これらが「蟻の一穴」になるんじゃないかと先の将来を心配しているんですよね。

 

そしてその徴兵制。

実は私は今回の件のかなり前からいずれそうなる、いや、ならざるをえないんじゃないかって思ってました。

ちょっと前に自民党の石破幹事長が徴兵制に触れて、そこでは拒否した際の罰則にまで踏み込んで発言していましたから、戦争大好き自民党にはベースとして「いずれ徴兵制を導入したい」という考えがあるのだと思います。

また、アメリカでは国民の義務としてではなく貧困層が生きていくためには軍に入らざるをえない状況に追い込む「経済徴兵制」というものがあって、集団的自衛権によって交戦の可能性が高まり、志願者数の減少が考えられるここ日本でも、拡大する格差社会は就職難の若者を自衛隊に入れるための布石なのかもしれません。で、さらにぱるる起用でイメージアップです。

 

ま、ここまでは自分でもやや考えすぎかなという気もします。

でも自民党はできることなら徴兵制を導入したいと思ってるのは間違いないでしょう。

 

ではなぜ「ならざるをえない」と思うのか。

仮に徴兵制が始まったとして、その対象となるのは10~20代の若者。少子高齢化社会の今なら30代でも可になるでしょうか。

このブログを見てる方の年齢層はやや高めなような気がするんですが、40代以上の中高年の自分は無関係だと思ってるでしょうか。私はむしろ中高年こそ徴兵の対象になる気がしています。

勘のいい方はもうお気付きですね。

私ら中高年が徴兵されて向かう先は戦場ではなく、東京電力・福島第一原発です。

事故から3年以上経ってもまだ汚染水がどーのとやってるばかりでまるで先の見えない収束・廃炉作業。一人が原発構内で作業できる時間(被曝線量)は限られており、恐らくこの先何十年とかかるこの作業において間違いなく作業員不足の現実は迫ってきます。作業員への志願者だけでは頭数が足りないからそのためには徴兵制を導入して強制的に人を集める。しかしこれから子孫を増やし社会を担っていく若者を被曝させるのは避けたい、でも人は必要、となれば残るは中高年。子どもが生まれ、子育てもある程度目処が立った世代であれば仮に被曝で健康被害が起きても子孫には影響しない。

どうして東電の尻拭いを我々国民が強制的にさせられなければいけないのか。確かに理不尽で納得できるものではありません。

しかし、東電だけで収束させるのはもはや不可能と思える現状で、未来を生きていく子ども達にこの日本を残すためには大人がやらざるをえない。いつか、そう遠くないうちにそんな日がやってくるんじゃないかとずっと思っていました。

で、今回の集団的自衛権と、それに絡んでぼんやりと見えてくる徴兵制。非現実的だと切り捨てる話ではないように思います。

 

あ、別に私は東電の味方するわけじゃないですよ。

事故当事者である東電が責任持って収束させるのが筋であって、今でも国民が収めた税金が東電に流れているのはハッキリ言ってムカついてますから。

 

ストロンチウムとス卜口ンチウム

昨日Twitterで流れてきたおもしろかったネタ。

いや、正しくは全然おもしろくないムカつくネタなんだけど。

 

ホームページを開設すれば、SEOも合わせて考えるのが今は普通。

商材だったりサービスだったり地域名だったり、目標とするキーワードでできるだけ上位に表示させるのを皆さん目指します。

が、今回は特定のキーワードで検索に引っかからないようにする、いわばステルスSEO。

原子力規制委員会の一部の資料で「ストロンチウム」を「ス卜口ンチウム」と置き換えていることが発覚しました。

「ストロンチウム」と「ス卜口ンチウム」、画面で見てるとほとんどわかりません。

前者はカタカナで「すとろんちうむ」、後者はカタカナの「ト」が漢字の「卜(ぼく)」、カタカナの「ロ」が漢字の「口(くち)」となっています。

ストロンチウム

明朝体にすると少しはわかりやすいでしょうか。

上が全部カタカナ、下が「卜(ぼく)」と「口(くち)」が使われているものです。

もちろん文字列としてはまったく異なるワードなので、双方で検索した時の結果もまったく異なります。

ヒマな人はコピペして検索してみてください。

 

そして、これが火種となって他のワードでも同じようなことがあるんじゃないかと皆さん調べる調べる(笑)

で、「原子力」や「東京電力」の「力」をカタカナの「カ」に置き換えた「原子カ」「東京電カ」とか、ヒドいのは「柏崎刈羽」が「ネ白崎刈羽」になってるなんてのもありました。

「ネ白崎刈羽」なんて冗談だろって思ったらマヂで検索出てくるんすね(笑)

「ネ申」みたいなもんですか。

 

じゃあなぜこんなめんどくさいことするかと言えば、間違いなく見られたくないからなんでしょう。

だったらネットに出さなきゃいいじゃんって話にもなりますが、出すべきものを出してないとそれはそれで叩かれるので、形式的に出すけれどほとんどの人の目には触れないように・・・・ということでこのステルスSEOが行われているんでしょう。

なんといいますか・・・・・

姑息

ですな。

しかもこれやってるのが原子力規制委員会ですよ?

本来、国民側に立って原発を監視するべき原子力規制委員会が国民の目を欺いている。

恥ずかしくないんですか?

原子力規制委員会のホームページを見ると「原子力規制委員会の組織理念」というものがありまして、そこには

原子力規制委員会は、2011年3月11日に発生した東京電力福島原子力発電所事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために、そして、我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り、国民の安全を最優先に、原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立すべく、設置された。
原子力にかかわる者はすべからく高い倫理観を持ち、常に世界最高水準の安全を目指さなければならない。
我々は、これを自覚し、たゆまず努力することを誓う。

との記載があります。

高い倫理観って、どこが?

 

これで原子力規制委員会の立ち位置がよーくわかりましたね。

 

除染の目標値を倍に引き上げってふざけてるんですか

昨日のニュース

除染の目標値“倍に引き上げ”を協議(日本テレビ系(NNN) 6月6日(金)21時46分配信)

原発事故からの復興の前提となる除染で、達成すべき空間放射線量の目標値について、環境省と地元の自治体がこれまでのほぼ倍に引き上げる新たな方針を協議していることが分かった。
環境省は、除染の後の空間放射線量を毎時0.23マイクロシーベルト以下とする目標値を定めている。ただ、一部の自治体からは、「達成は難しい」と、より現実的に見直すよう要望も出ていた。このため環境省は、目標値をこれまでのほぼ倍の毎時0.4~0.6マイクロシーベルト前後に引き上げる方向で、自治体と協議を進めていることが分かった。
環境省などは、毎時0.23マイクロシーベルトを上回っても年間の追加被ばく線量である1ミリシーベルト以下に抑えられるとして、今月15日にも、自治体を集め、目標の引き上げについて話し合うことにしている。

 

なんでしょう、これ。

現時点では「協議」であって決定ではありませんが、聞いて「はぁ?」と思いました。

私自身は以前から除染の効果については懐疑的ではあるんですけど、除染そのものを否定しているわけではありません。やって線量下がるならやるのがベターだし、半減期待っててもウン万年かかるんだから必要に応じてやるべきところではやるべきでしょう。

でも、達成が難しいから目標値を変えろってのは意味がわかりません。

これ、完全に目的と手段を履き違えてるでしょ。

除染をするのはあくまでもそこに暮らす住民が安心して暮らせる環境を取り戻すことが目的であって、除染はその手段の一つに過ぎません。そして除染の効果を確認する目安として目標値があり、その目標値は安心して暮らせるレベルでなければ意味がない。目標値を変えて形式上「達成」とするのは除染の目的が目標値達成そのものでしかなく、住民の安心・安全という本来の目的を無視する暴挙と言っていいでしょう。

安心できるとして設けた目標を達成できないならそこでの除染は諦めて住民を避難させるべきではないんですか?

効果の出ない除染に税金をつぎ込むくらいなら、その金を避難や移住への補償に当てたらどうなんですか?

もう3年以上が経ってるんですよ?3年経って今さら目標を達成できませんなんて言われて住民は納得できるんでしょうか?倍になった目標値を達成したら住民は納得するんでしょうか?

 

なんとなく世間の空気的には福島第一原発はとりあえず危機的状況を脱してるような印象が与えられていますが、3年経った今でも福島第一原発からは大気中に放射性物質が放出され続けています。

雨漏りしてるお宅でビショ濡れになった部屋の中をいくら拭き掃除しても意味ないのは子どもでもわかること。まずは雨漏りを直さなければその先には進めません。大工さんが来るまで水びだしの部屋で寝ますか?

 

結局泣きを見るのはいつも罪のない一般市民。事故当事者は何をしてるんですか。

行政も何を一番優先させるべきか、そこの認識を改めてから除染するかどうかを判断していただきたいものです。

 

美味しんぼ

 

司法は生きていた

勝訴

昨日の午後に飛び込んできたニュース。

関西電力大飯原発差止訴訟において運転再開を認めない判決が下されました。

なんかねぇ・・・・・目頭が熱くなりましたよ。

福島第一原発事故によって東日本の広い範囲が汚染され、多くの方々が故郷を離れることになり、周辺住民は被曝の不安を抱え、その原発は収束の目処も立たず、たった1回の事故でこんなに甚大な被害をもたらした原発に国民の多くはもう懲り懲りしてるのに、政府はそんな声に耳を傾けることもしないまま再稼動ありきでコトを進め、脱原発への明確な道筋が見えないまま3年が経過してしまいました。

しかしここにきてこの判決。

 

原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。

判決理由の中にある上の一文。シンプルに言えば「原発より人」ということでしょうか。当り前すぎるくらいに当り前のことが何故かこれまで蔑ろにされてきて、でも今回このように当り前のことがようやく公に認められたのがとてもうれしい。こんな当り前のことでよろこぶのもどうかと思うんだけど。

その他にも判決要旨を読むと基本的に人の生命・健康・人権に重きを置いていて、電力会社の楽観を痛烈に批判しています。

冒頭の写真で掲げられた「司法は生きていた」

ホントにそう思いました。

 

確かに電気は必要。でも、人の命を危険にさらしてまで作るものじゃない。

 

250km圏内

 

今回、原発から250km圏内の住民の訴えが認められたということは、上の地図でわかるように全国の原発で250km圏内に及ばない北海道の一部と沖縄を除いてほぼ全ての国民が運転停止の訴えを起こす権利を認められたということでもあります。

私たちは原発の不安にNoと言える!

関西電力が即日控訴したことで大飯原発についてはまだ長引きそうではありますけど、その他にも全国で展開されている原発運転・建設差し止め訴訟においても司法が人を重視した判決を下してくれることを切に願います。

 

判決要旨全文は以下で読めますのでお時間ある方はぜひお読みください。

【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します / NPJ

 

原発事故と鼻血

気付けばすっかり大騒ぎになっている「美味しんぼ」の鼻血ネタ。

ネットだけで済んでればよかったものを、国会議員や自治体の長まで首を突っ込み、更には新聞・テレビでも取り上げられて、その事実を「無かったことにしたい」と火消しに躍起になっている連中自ら火に油を注いでいる始末。

鼻血の件については以下も参考にどうぞ。

<鼻血は風評被害だ?>環境省が異常な反応~いろいろまとめ~ 「如何に福島は危ないかを証明しているのは今の環境省」 – みんな楽しくHappy♡がいい♪
<実際に鼻血はあります!>えっ!?ヽ(ヽ゚ロ゚)!「放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる」~いろいろまとめ2~ – みんな楽しくHappy♡がいい♪
「美味しんぼ」の問題に関する個人的見解: きっこのブログ

私は自身や家族、日常的に接点のある友人・知人で鼻血を出したケースはありませんが、新潟市の震災瓦礫受入問題で説明会に参加した時には、福島から母子避難されたお母さんがお子さんが大量の鼻血を出してそこにいることに危機感を持って避難したということを涙ながらに話してたのを聞いてたし、山形が瓦礫焼却を始めてからお子さんが鼻血を出すようになったと新潟に避難された山形の焼却施設近くに住んでた方の話も聞いています。Twitterでもそれ系の方をフォローしてる方なら震災後からそういうツイートを日常的に目にしていたという方も多いでしょうし、私も数知れずそういうツイートを見ていたので、放射性物質による被曝と鼻血には因果関係があるんじゃないかと疑ってたし、チェルノブイリで伝えられている事象もいろいろ聞いていたから、だからこそ新潟市の瓦礫受け入れにも反対しました。

ある方によれば、α線核種とβ線核種のどっちがどっちだったか失念しちゃいましたが、どちらかが鼻の粘膜の表面を傷付け、どちらかがそこから中に入って中の細胞を傷付け、そのためにいつまでも鼻血が止まらないんだ、というようなことを話されてました。これについては私は専門じゃないので何とも判断できませんけど、まったくトンチンカンな話でもないのかなぁと思ってます。

で、政府を始めとして美味しんぼを叩いてる方々は「被曝と鼻血の因果関係はない」と言ってますが、私的には「因果関係がない」のではなく「因果関係があるか証明できない」だけで、証明できないから因果関係が「ない」と断定するのはちょっとどうなのと思ってます。事実、原発事故前には聞かれなかった様々な健康被害が事故後に顕著に聞かれるようになったのですから、証明はできなくても状況証拠としてその可能性は高いと疑うのが自然ではないかと。

まぁ、それでも鼻血の原因は被曝じゃないと思いたい方はそれは個人の自由なわけだし、被曝が原因だと思うのも個人の自由。それをフィクションであるマンガを国ぐるみでバッシングするのは「そう思われると困る」からこそ必死なわけで、民主党政権時にあれだけ国会で言及していた自民党議員にいたっては完全に自己矛盾でメチャクチャです。

で、今回の鼻血の件に限らず、例えば食品の産地を気にすることも、震災瓦礫広域処理に反対するのも、汚染地から移住するのも、被曝の危険性を訴えるのも、汚染地にとってマイナスイメージとなることは全部バッシングの対象となっちゃうわけですが、それら全部が叩く矛先間違えてね?と思うのですよ。

叩く相手は美味しんぼではなく、そういう原因を作った東京電力、事故時に適切な対応を取らなかった民主党、政権交代後も不適切な対応を取り続け、事故前から原発を推進してきた自民党、そっちじゃないですかねぇ?