改正水道法

臨時国会が終わり、懸念の多い法案が多数可決されてしまいました。

大きな話題となった出入国管理法案は審議も今後の運用もデタラメっぷりが炸裂してますが、あまり大きく取り上げられなかった法案の中で心配なものに改正水道法があります。

自治体が運営する水道事業は経営状況が良くないところが多く、市町村での広域連携や運営の民間委託などを可能にすることで経営基盤強化を図る目的として可決されたのが改正水道法。水道管の老朽化問題なんかはニュースでもよく取り上げられてるように、私たちの生活インフラの維持に関わる問題ですので他人事ではありません。

しかし、これもニュースで報じられてますが、海外で水道事業を民間委託した例は多数あるものの、その多くが水道料金の高騰や水質の悪化などで再公営化されており、2000年から2014年の間に35ヵ国・180件もの再公営化事例があったそうです。つまり、民間委託でうまくいった例ってあんまりないってことです。

でもこれって少し考えればすぐわかることですよね。民間は利益を上げてナンボなわけですから採算性の悪いものに投資はしません。利用者の多い都市部なら投資に見合ったリターンが得られても、過疎地では当然利益率は低く、場合によっては赤字ですからそれを維持するかどうかはかなりシビア。例えば都市部から10km離れた過疎地に住民10人なんてところがあったら、水道管の交換費用が1kmあたり約1億円かかるそうなので、それをそのまま当てはめたら10億の投資が必要で、この先40年50年でその住民から10億も利益得られるかって言ったらそりゃムリな話。公営なら損得抜きでやれることも、民間だとそれができるとは限らないわけです。そうすると採算性の悪い地域では最悪の場合水道サービスの停止ということも考えられますし、維持するかどうかは委託された民間企業の良心に委ねられることになります。ゴーンさんのようにスパッとリストラしちゃうような考えの経営者だったら、これまでの公営のようなサービスはまず期待できないですよね。

そもそもの話で、経営状況が良くない自治体の水道事業を引き受けようって企業、いるんでしょうか。利益が見込めるなら参入する意義もあるでしょうけど、不採算事業を喜んで引き受けようって企業はまずいないですよね。公営のまま周辺自治体で広域連携するにしても、利益出してる自治体が不採算自治体の面倒までみようと思うものでしょうか。もし民間の経営ノウハウをアテにしているのであれば、公益のままノウハウだけ入れればいいだけの話で、それを言っちゃうと役人は無能だって自ら認めちゃうことにはなっちゃいますが(笑)、わざわざ法律変えなくてもできることはあるし、だったらこの改正が誰のためなんだってとこになるわけですよ。

内閣府には、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間と連携して効率化を図る「内閣府民間資金等活用事業推進室」というのがあるのですが、そこにフランスの水道サービス大手・ヴェオリア社の日本法人からの職員が出向してるらしいんですね。日本の水道事業にフランスの企業が?命に関わる水道事業を民間に、しかも海外の企業に?なんだかこれだけでキナ臭い感じがしてきますよね。

まぁ、この改正ですぐに日本中の水道事業が民間委託されるわけではなく、我が新潟県では9月の定例会で水道法改正案に反対する意見書を出していて、これは野党の「未来にいがた」が発案したのですが、なんと自民党の県議も「民間参入による弊害から県民を守るという点で意見が一致した」と意見書に賛成してるんですね(公明党は賛成せず)。これにはアンチ自民の私も感心しましたし、新潟県の水道事業が民間委託される可能性はかなり低くなったと少し安心しています。

しかし水道インフラの更新はどこも待ったなしの状況。アヤシイ法案通してオリンピックに金かけてるより、もっと先にやるべきことがあるだろうと思った臨時国会でした。