「知ること」からはじめよう

残念ながら、しかし大方の予想通り、特定秘密保護法は可決されてしまいました。

昨夜も国会前や野音に特秘法反対を訴える数万もの市民が駆けつけ声を上げました。これだけの声は民意の多数だと私は感じるのだけど、結局何万人・何百万人集まろうとも議席での多数に民意の多数は勝てないのだと無念さを噛み締める夜になってしまいました。

だけど、自公にこれだけの議席を与えたのも民意。

つくづく選挙って大事なんだなって思いました。

もちろん自公に投票した方の中に特秘法にまで賛成したわけじゃないって方もいるでしょう。でもTPPや原発再稼動の姿勢なんかを見てても自公の目がどこを見ているかというのは推察できたはず。そしてそれは今後も変わらず、この先も続いていき、最後は当然のことながら憲法9条改正でフィニッシュです。

 

話は変わって、

今回可決された特定秘密保護法案、普通に生活してる方のほとんどは特定秘密に指定されるような内容に触れる機会はないと思うので、今まで通り普通に暮らしていれば特に影響ないと思われます。影響があるとすれば本来知り得たはずの情報が秘密にされることで知り得なかったということですが、何が秘密なのかも秘密ですから、ダンナの浮気もバレなきゃOKみたいなもんで、知りさえしなければ問題にはなりません(それが最大の問題なんだけど)。

じゃあ私自身に何か影響及ぶかな~と考えていたところに気になる情報が入ってきました。

福島みずほ議員 秘密保護法逐条解説、H23.11分法令協議入手 : 秘密保全法に反対する 愛知の会

気になったのはここで書かれているサーバーメンテナンス業者についての点。

指摘の箇所、法令協議2の64~65ページ、法令協議3の16~17ページを読んでもらうとわかるのですが・・・・いや、読んでもイマイチわかりにくいんだけど、

システムを管理する側が、安全管理措置を充分に施さなかったといった不作為により漏えいした場合、もしくは攻撃側がシステム管理側の防御の仕組みを上回って、漏えいしてしまったといった場合に、システムを管理する側が、その過失責任を問われることとなりうるのか質問したい。

これに対する回答が

個別具体的な事情によるが、一般論としては、故意又は過失責任を問われ得るものと考える。

ウチはサーバー持ってないんで直接は関係ないかもしれないけど、拡大解釈によってはまったく無関係とも言い切れない・・・・かも?

例えば、特定秘密に指定されている内容(それがそうとは知らなくても)を含んだデータをアップロードして、それがハッカーによって盗まれたとしたら、サーバー管理業者は安全管理措置を充分に施さなかったとして責任を問われることになり、場合によってはサーバーの契約者、仮にウチで契約してお客様に利用してもらっていたサーバーだとしたら私も同様に責任を問われるかもしれない。

例えば、私のブログに見知らぬ誰かが「石破茂はキャンデーズの追っかけをやっていた」という特定秘密に指定されている情報(仮)をコメントに入れたとしたら、コメント欄の安全管理措置を充分に施さなかったとしてブログ管理者である私やブログを使ってるサーバー管理業者が責任を問われるかもしれない。

2つ目は半分冗談で読んでる方も「まさかぁ(笑)」と思うだろうけど、その可能性がゼロではないってことがこの特定秘密保護法の怖いところ。なんせこの法律の権限を握ってるのは民意も議会制政治も全力で無視するファシスト達ですから。

そんなの可決されてから文句言っても仕方ないじゃーんってところなんですが、この話を知ったのは可決まで間もない12月5日のこと。社民党・福島みずほ議員の要求によってようやく開示されたものです。本来であればもっと早くに情報を開示し、国民にも周知をさせた上で充分な議論が行われるべきなのですが、この特秘法はこういうツッ込みどころがボロボロと出てきます。

流行語的に言えば「今かよっ!」です。

もっと早くこの話が出てれば恐らくネット関係業界からも反対の声が上がったんじゃないでしょうか?

だって拡大解釈で如何様にでもなるし、さっきの2つ目のアホみたいな例もマヂってことになればネット上に何も置けなくなります。全てのユーザーの全てのデータを逐一管理することは事実上不可能、しかも何が法に触れるのかもわからない。ある日いきなり「特定秘密保護法違反で逮捕します」とシステム管理者が連れて行かれる。そうなれば今後はサーバーを海外に置く業者が増えていくかもしれません。あ、代わりに無修正動画が見放題になる男性にとってのメリットはあるかもしれませんが(笑)

 

で、話は最初に戻って選挙のこと。

選挙に「行く」のももちろん大事。でも、もっと大事なのは「知ること」じゃないかなって思うんです。

この政党、この候補者は何を訴え、何をしようとしているのか。口ではいいこと言ってるけど本音はどうなのかな?自分の主張と党の方針が違った場合にはどう行動するのかな?本当に国民のことを考えてるのかな?お金や圧力で主張を変えたりしないかな?等々。

いや、選挙だけに限りませんね。今回の特秘法でも「それ知ってれば反対したのに~」ってことが今後も出てくると思います。

「無知は罪」ってソクラテスの言葉でしたっけ?

私は「罪だ!」とまでは言いませんけど、やはり自分たちが人間らしく安全に平穏に暮らしていける世の中を守るためには「知ること」は必要じゃないかなって思います。

瓦礫処理の件でも、それまでぼんやりと「危険かも?」と思っていたのがいろんな人から知識を分けてもらったおかげで「やっぱり危険なんだ!」って確信に変わりました。

食品の汚染についても、気にする人、しない人、それぞれ判断基準はバラバラだけど、チェルノブリの例などいろんな人から様々な知識・事例を教えてもらったことで「子どもには極力食べさせないようにしよう」と避けるための情報を集めるようになりました。自分の無知のせいで子どもの健康を損ねたくはないですもん。

 

昨日のNHKニュースで原発再稼動についての街頭インタビューがあり、その中で「僕は賛成ですね。これから貴重なエネルギーになってくると思いますし、まぁ、大事故の可能性はありますが、しっかり注意すれば大丈夫です」と言ってる青年がいる一方で「反対です。被災者なんですよ、仙台出身なんで。なので出来るだけ原子力は無くしてほしいなと思っている」と言ってる女性がいました。

震災を直接経験したかどうかで意見が違うのは当然でしょう。

でも、テレビや新聞で見聞きするのではなく、自分自身が原発事故で被災していたら、賛成していた青年も「しっかり注意すれば大丈夫」だなんて言えないと思うんですよね。

本当は事故が起こる前に私たちはもっと真剣に原発の危険性を知り、考えるべきだったのに、取り返しの付かない原発事故は起こってしまいました。1000日経っても反省と後悔でいっぱいです。

「覆水盆に返らず」

同じ過ちは繰り返してはいけない。

再びあんな事故が起こってから実体験で知るのではなく、過去の過ちから知れば故郷を奪われるなんて経験をしなくて済む。

だから、まずは「知ること」

 

で、その「知る権利」を脅かす危険性のある特定秘密保護法には、私はやっぱり反対です。