リプロダクト

先日、とある絶版バイクのカウルに貼るステッカーを作れないか、というご相談をいただきました。

そのバイクのカウルは恐らくABS樹脂製かと思いますが、現物を確認したところ一般的なバイクに比べて厚さがやや薄い感じもあり、既に生産から30年を過ぎて経年劣化で高確率で割れてくるんだそうです。で、カウル自体はFRP製のリプロダクトパーツがあって入手は可能のことですが、カウルに貼ってある純正ステッカーが絶版でリプロもなくて手に入らないとのことで、そのご相談でした。

タンクやカウルに貼ってあるステッカーの類いは大抵の場合カウルの色に合わせたベースにグラフィックが描かれている一枚モノのステッカーかと思いますが、印刷でカウルの色に合わせていくのはこれがまた案外難しくて、色校を何度も出して近い色に合わせていく必要があり、後に大量に制作するステッカーならそれも可能ですけど、1台だけのための小ロットでそこまでコストはかけられません。かといって微妙に違う色で作ってもお客様は満足しないでしょうから、幸いにも既成のカッティングシートでグラフィックと近い色があったのでステッカーではなくカッティングシートで制作することになりました(もちろんお客様の了解を得て、です)。

立体的なカウル故にスキャナーで読み取ることはできないので、できるだけ平面に見える角度で写真を撮って、それを元にトレースしてパスデータを作ります。幸い、それほど難しいグラフィックではなかったのでほぼ正確にトレースできました。一度プリントアウトして現物と比較。まぁOKなレベルでしょうか。あとはパスデータでカットすれば完成です。

ステッカーでもカッティングシートでもウチはよく小ロットのお問い合わせがあります。もちろん小ロットでも対応は可能なのですが、問題なのはコストです。ステッカーが1枚でも1000枚でもデータ作る手間は同じですし、印刷物は特に数量が少ないとどうしても割高になりますので、その辺りをお客様がどこまで許容できるか、が一番の課題。当然、高くなりすぎて断念というケースも多々あります。それでもできるだけお客様の要望にはお応えしたいと思っておりますので、ダメモトでも一度ご相談ください。ベストな方法を探りましょう。

あ、どうしてもムリな時はムリって言いますので(笑)