戦争と原発

ロシアのウクライナ侵攻からもう1週間が経過していますが、停戦協議が難航しているのか戦火が止む気配はありません。

その間にも何の罪もない多数の民間人が犠牲になり、歴史ある街並みがガレキと化していっています。

戦争は犠牲ばかりで何も生まない。報道を見る度に空しさと悲しさに襲われます。

 

この1週間余りの間に日本ではこの戦争をめぐって日本も核武装するべきだなんて話が一部から出ていました。

ウクライナもかつては核を持っていたのに手放したから侵攻されたんだ、という主張もあるようですが、核を持っていたら他国の侵略を受けないという保証はありませんし、今回のロシア(というかプーチン)の様子を見ていると相手が核を持ってるかどうかはあまり問題ではなく、これだけ世界中から非難されるのをわかっていながらこんな蛮行をするのですから、もはや理論とか理性とか常識とか失っているような気がしますし、そんな相手では核の抑止力とかほぼ無意味に思えてなりません。核大国であるアメリカですら、核攻撃はおろか武力行使だけでも第三次世界大戦に発展する可能性があると手出しができない状況で、それをいいことにロシアは好き勝手やってるわけですし。

そもそも、日本がもし核武装すると宣言したら世界はどう思うでしょうか。

日本に近い中国、北朝鮮、そしてロシアはアメリカの同盟国である日本の核武装なんて話が出た時点で猛反発でしょうし、本気で核武装するということになれば配備される前につぶしてしまえとウクライナのように軍事侵攻されるかもしれません。

日本に好意的な国でも、世界で唯一の被爆国である日本は核廃絶のリーダーシップをとるべき国であり、核保有なんてとんでもないと非難と失望の嵐でしょう。ロシアの愚行を見た今であれば尚の事です。

核を持たずに専守防衛だなんてお花畑だ、という人もいますが、他国に配慮ナシで核武装できると思ってる考えの方がお花畑かもしれません。

 

そして更に恐れていたことが。ロシアがウクライナにあるザポリージャ原発を攻撃、制圧したという報道がありました。

ウクライナと言えば1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発があり、ロシア侵攻の早い段階でチェルノブイリも制圧されました。その時でも攻撃による放射能汚染の危険性が言われていたのに、ザポリージャ原発に至ってはもし放射能漏れ事故に発展したらチェルノブイリの10倍の規模になるという話もあり、そこを武力攻撃するなんてもう正気の沙汰ではありません。万が一原子炉が爆発して放射性物質が漏れたらウクライナはもちろん、ロシアやEU域内まで広範囲に汚染される可能性があります。

当初の思惑が外れたプーチンはもう自暴自棄になってるのでしょうか。さすがにここまではやらないだろうと思われていたことを軽々と超えてくる暴走列車を止める術はないのでしょうか。

 

これでわかったことは、軍事面で自国内にある原発はリスクになるということ。

前から日本の原発もテロ対策ができているのかって話はありましたよね。福島第一原発事故を起こした東京電力が管理する柏崎刈羽原発はご存知のようにこの10年の間にもボロのオンパレードなユルユル管理体制なので、プロの軍隊なら秒で制圧できるかもしれません。

一旦制圧された原発は核爆弾を背負った要塞になります。攻撃して奪還したくても原子炉にキズを付けるわけにいかないので手段が限られ、当然相手も核爆発に巻き込まれるリスクは負いますが、圧倒的有利に敵陣にベースを作ることができます。日本の原発は全て海沿いですから海からの侵攻も容易で、制圧後は海から補給を続けることで原子炉を背中にいくらでもミサイル打つことができ、仮にやられたとしても原子炉を破壊して自爆すれば日本を壊滅レベルに追い込むことができるわけです。

もう、考えただけで怖いです。

日本の核武装を語ってる方はここまで想像できてるのでしょうか。

核なき自衛はお花畑だと言うなら、まずは一番のリスクである原発を何とかするのが先決ではないですか?

 

そもそもの話として、

戦争には反対です。