説明会in東区プラザ

 

昨日は新潟市東区役所内の東区プラザ多目的ルーム2で新潟市廃棄物施設課担当者と中山均市議を招いて行われた「震災がれきの広域処理に関する説明会」に行ってきました。

最初は中山議員のプレゼンテーションによる瓦礫広域処理に関する問題点の考察。続いて施設課の方からの説明。その後質疑応答というトータル3時間ちょっとの内容でした。

中山市議からのプレゼンテーションは賛成・反対一方に偏ることなく理論的かつ客観的に問題点が洗い出されていて非常にすばらしいものでした。

 

で、いくつか問題提起された中で気になったものをいくつか。

まず広域処理の必要性については、中山議員自ら実際に大槌町にも足を運び現地を見て現地の方からも話を聞いており、それらを総合的に見た上での話ですが、新潟5市で受け入れる6300トンの瓦礫は大槌町全体の瓦礫総量から見れば非常に少なく、むしろ広域処理の対象となっていない瓦礫の方が大きな問題であり、また新潟が木質チップに限定していることで現地に余計な選別作業(手作業です)を強いていることや、本来地元で全部やりたいところを3年以内と期間を区切られたためにできないなど、これまでの市の説明会では一切触れられてこなかった(しかし市民からは指摘されていた)事実が報告されており、全国で瓦礫を受け入れることで劇的に復興が進むというイメージ的なものと現地の現実はかなりの差があることがわかります。先日もNHKで復興予算のあまりにヒドい使われ方が暴露されましたが、広域処理についても同じようなもので、広域処理よりも優先して取り組むべき課題があるのではないかと思いました。

次にバグフィルターのセシウム除去率について、市は環境省の提供した99.92~99.99%という数字を繰り返していますが、中山議員もその精度や検証方法には疑問を呈しており、検証で採取された排ガスから逆算するとサンプルとしての焼却瓦礫は実質600g(キログラムではありません)と実にお茶碗3杯分のご飯くらいであまりに少ないと指摘しています。一方で静岡県島田市での瓦礫中セシウムの40%が大気中に放出されたという市民グループからの指摘については灰に移ったのが60%だとしてもフィルター本体や炉内に付着しているセシウムもあるはずだとして除去率60%説に対しても安易に用いるべきではないと釘を刺しています。

ただ、この点については私としては若干違和感があって、島田市の例で灰に6割で残り4割が炉内に残っているというのはちょっと考えられないし、多少譲ったとしてもせいぜい2割残留・2割放出くらいではないかと素人ながらに思うんですね。ということはいずれにしても市や環境省の示す99%以上捕捉というのは現実的ではなく、20%も大気に放出されるのであればそれはやはり環境汚染を防ぐために瓦礫焼却はやるべきではないし、しかも北九州市では周辺で0.58μSv/hという高い線量が計測されたり、仙台では通常の4000倍ものアスベストが放出されたという話もあり、被災地でも広域でも一般の焼却施設で燃やすのは原発内の施設のような3重とか5重のフィルターを備えない限りは現実的ではないと思います。

続いて瓦礫焼却によるリスクについては、中山議員はかなり危険寄りに検証した上で計算上では重大な影響を与えるほどではない(安全であるともしていませんが)としていました。この点についてはいろいろ見解が分かれるところではあるのですが、昨夜のNHKでのチェルノブイリレポートでも事故後26年経った今になって甲状腺がんを発症したという例や子供の慢性疾患、運動能力の低下などが紹介されているなど、国際機関で認められていない低線量被曝の健康への影響というのはまだまだ明らかにされていない点が多く、たとえ僅かなリスクでも現時点で過小評価をするべきではないと私は思うし、新潟は事故当時のフォールアウトは奇跡的に軽度で済んでいるとはいえ、汚染食品は普通に流通してるし河川を経由しての汚染もまだまだ続くわけですから、できるだけ追加被曝を減らすという視点に立つべきだと考えます。

ま、私の見解はともかくとして受け取り方は人それぞれかと思いますので、今後IWJで録画が公開された際にはぜひ中山議員の冒頭1時間だけでいいので見て頂きたいと思います。

 

そして中山議員のプレゼンに続いた市の説明。私が説明会に出席したのはこれで3回目となりましたが内容はいつもと同じ(さすがに女川のDVDは流しませんでしたが)、渡された資料も同じものでした。

今回の説明会は問題の論点整理という趣旨だったのですが、個人的には「ここ」が一番の問題であると感じました。

市はこれまで公開・非公開合わせて50回以上も説明会を開き、そこで市民から疑問や質問や指摘を受けてきたにもかかわらず最初から今まで言うこと・見せるものに一切変化がありません。足りないものは補い、誤りは訂正するといった姿勢がまるでなく、一貫して「安全です」の繰り返し。正に一方的な「説明会」であって対話ではないんです。

中山議員のプレゼンの後でもこの調子なもんですから、結局これでは市民の理解は進まないし歩み寄りもないよなぁとガックリきました。

ここはやはり一番の権限を持つ篠田市長が市民と向き合い、施設課に丸投げではなく責任ある回答を直接市民にしなければならないんじゃないでしょうか。

中山議員の資料は言いだしっぺにもかかわらず一番問題の重要性をわかっていない篠田市長にこそぜひ見ていただきたいところです。