それでも原発に賛成するのか

ロイターのサイトで原発についてのオンライン調査があった。

政府のエネルギー基本計画では2030年までに14基以上の原発増設を目指している。今回の原発事故を受けて、あなたの望む政策は。
http://polls.reuters.com/jp/1301377486545

というもの。

福島第一原発での事故が未だ終息せず、このまま放射能汚染がどんどん拡大するのではないかと危惧されている現時点での調査であればおのずと原発に反対する意見が圧倒的多数を占めるだろうと私は予測したのだが、この記事を書いている段階での結果はこうだ。

計画通り、原発を増設 (5062 票, 25%)
計画を見直し、原発を減らす (6568 票, 33%)
原発を全廃 (8287 票, 42%)

 

見直しと全廃を含めた反対意見が75%と多数ではあるものの、増設に賛成する人が25%・5000人以上もいる。
私はゼロとまではいかないまでも多くても10%以下だろうと思ってたのに。
賛成に投票した方には大変失礼だが、頭おかしいんじゃないかと思う。

原子力は万全を期せば安全だと言う人もいるだろう。
原発で利権を貪る者もいるだろう。
原発関連の仕事に就いている人もいるし、原発によって雇用が生まれ経済が回っているという現実もある。
現在の電力需要に応えるには原発が必要だという考えもある。
事実、福島を始めとした原発が停止したために関東では計画停電も行われている。
だから少なからず賛成の人がいてもおかしくはない、と思う。

じゃあ、質問を「これから作る原発14基のうち1基をあなたの住む市町村に作るとしたら」に変えてみたらどうだろう。

恐らく賛成票は今回の調査よりグッと減ると思う。

投票した人がどこに住んでるのかわからないが、もしかしたら今のところ地震も原発も停電も影響を受けていない西日本の方なのかもしれない。しかし原発は福島だけではない。北海道から九州まで全国各地に原発はあり、そのいずれも今回の福島第一のような事故が起こるリスクを抱えている。福島から200km以上離れた東京ですら放射能の影響が及んでいることを考えれば自分の住んでる都道府県に原発がないからと安心できる保証はどこにもない。福島第一原発は対岸の火事ではないのだ。

更にこれを見てほしい。

原子力保安院の大ウソ暴露!(関東エリア未放送)※動画は削除されました

これを見てもまだ賛成に投票するだろうか。

あと以外に知らない人が多いのだが、福島第一原発は東京電力の施設であって東北電力ではない。福島県は東北電力管轄なので福島第一原発で作られた電力は福島では使われず送電線で関東に送られている。私の住む新潟県にも柏崎刈羽原発があるが、これも同様で電力は新潟では使われず関東に送られている。関東で使う電力を送電によって失われるロスを承知でわざわざ関東から離れた福島や新潟で発電しているのだ。

これが何を意味するかは考えなくてもわかるだろう。

絶対に安全なら関東の電力は関東で発電した方がロスが少なくて効率がいいに決まっている。
しかしそれをしないのはつまり作る側も100%安全であるとは思っていないからだ。
放射能漏れが起こっても首都・東京は守り、地方には死ねと言ってるのである。

そして今回の地震・津波で恐れていたことが現実になった。

それでもまだ賛成に投票するだろうか。

今一度考えてほしい。

確かに現時点で原発の電力は必要。
それは充分わかっているし、何も今すぐ原発を止めろなんて非現実的な理想論を押し付けるつもりもない。
今でも計画停電で関東の経済は大混乱しているのに柏崎刈羽まで止めたら完全に首都機能は麻痺し、それこそ日本全体が終わってしまう。

起こってしまった事故を過去にさかのぼって防ぐことはできない。でも、これからの未来を変えることはできる。被害の大きさを考えればきっかけとしては最悪だが、自分たちの未来を考える機会としては最後のチャンスかもしれない。もしこの機会を逃してしまったら我々はこの先も悪魔と同居する道を選ぶことになる。

今こそ脱・原発を考えなければいけない時ではないだろうか。